皆さんは、「恵まれた人間」なのです。
こう述べると、
いや、自分は、裕福な家系に生まれたわけではない、
いや、自分は、優れた才能に恵まれているわけではない、
などど思われる方がいるかもしれません。
しかし、この「恵まれた人間」とは、決してそのような意味ではありません。
では、「恵まれた人間」とは何か。
いま、この地球上の人類の中で、次のような条件を満たしている人間です。
第一に、半世紀以上も戦争のない平和な国に生まれ、
第二に、世界でも有数の経済的に豊かな国に生まれ、
第三に、最先端の科学技術を活用できる国に生まれ、
第四に、世界一の健康長寿を享受できる国に生まれ、
第五に、国民の多くが高等教育を受ける国に生まれた。
こうした条件を満たしている人間が、「恵まれた人間」です。
ー 本書「なぜ、働くのか」より ー

なぜ、働くのか/田坂広志 著/PHP文庫
では、なぜ、それが「恵まれた人間」か。
答えは明白です。
いま、地球上に生きている人類の中で、こうした境遇を与えられた人間は、ごく限られた少数だからです。
たとえば、我々が、今、この地球上で人間として生を受けるとき、どのような境遇に生まれるか、サイコロを振って決めるとしたら……
この現在の境遇に生まれる確率は、気が遠くなるほど低いものです。
逆に、戦禍に怯える国に生まれる確率は、決して低くない。
飢餓に苦しむ国に生まれる確率も、決して低くない。
と、田坂氏は語っています。
親ガチャという言葉が流行っていますね。
どういう親のもとに生まれたかによって、その後の人生が大きく違ってくるというものです。それで不満に思っている人も多いことでしょう。
かくいう私も幼少時に、父親が病気で死んでしまったため、一般の家庭に比べるといろいろと大変でした。
最近ではもっと進んで、色々なガチャが言われるようになりました。
先生ガチャとか上司ガチャとか……。容姿もその一つですね。
それを田坂氏は、違った角度から見ることができると言っています。
” いまの職場には、厳しい上司がいる。給料も低い。人間関係も悪い。
そういった境遇に見えるかもしれません。
しかし、「世界」という広がりにおいて観るならば、それは決して、ひどい境遇ではない。
そのことに気がつくか、否か。”
もし、そのことに気づいたなら、
恵まれた境遇に生まれついた人間は、それを「幸運」と思うだけであってはならず、
「感謝」をし、その感謝の念から「使命」を自覚しなければならない。
それは昔からイギリスで使われてきた言葉、
ノブリス・オブリージュ。
「高貴な人間が持つ義務」と訳されます。
” だから、もし皆さんが、
自分の生まれた境遇を、恵まれた境遇であると感じ、
その感謝の思いを、良き仕事を通じて表そうと考え、
そうした使命感を持って生きられるならば、
その生き方は、高貴な生き方です。
皆さんのその姿は、貴い姿です ”
そうはいっても現実には、なかなか自分の仕事をそのように思える人は数少ないでしょう。私もそうでしたが、人間関係も仕事内容も、ふり返ってみるとそんなに格好の良いものではなく、もっと地味なものでした。そんな中でさえ悪戦苦闘の日々でした。
しかし、田坂氏は、その「良き仕事」とは、
” 決して、世界的な大発明や国際的な大事業である必要はない。
それは、何よりも、日々の仕事に心を込めて取り組むこと。
そのことでよいのです。”
これだったら、私にもなんとか出来そうな気がします。
ちなみに仕事を「世界的な広がりで観る」の他に、
「歴史という流れにおいて観る」「生死という深みにおいて観る」などについても、
深く語られていて感銘を受けました。
これから仕事をしようと飛び立つ若い人に、ぜひ読んで欲しい本ですが、すでに仕事を退いた人にも有益な本です。
今さらと思われるかもしれませんが、金銭が入らないボランティアや家事でさえも、使命感を持って働くというのは大切で、生きがいにもつながります。
そういうささやかな働きが、とても価値があるものだと心から思えるようになるからです。
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いつもありがとうございます。出来れば私も、若い時にこの本に出会えたら良かったのですが、その頃にはまだこの本は出ていませんでした。今、この年齢で出会ったのも、そういう運命だったのかもしれませんね。





⇚本の〖真紅のばら〗











1月20日に追加しました。