桜さくら堂

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マスカレード・ライフ/東野圭吾/ミステリー/感想レビュー・紹介など

「おまえが友だちの名誉を守ろうとするのはいい。だけど何が大事かは人それぞれだ。そのことだけは忘れるな」

「どういう意味だ?」

「まかり間違っても、感謝されたいなどと考えるな、ということだ」

 ー マスカレード・ライフ プロローグ 東野圭吾 より ー

 

ホテル・コルテシア東京で、文学選考会が急遽開かれることになった。

その最終選考者のなかに、行方不明の殺人事件の容疑者がいることが分かったため、かつて様々な事件を解決してきたホテル・コルテシアに白羽の矢が立ったのだ。

警察に協力を依頼されて、元刑事であるホテルマン新田浩介が再び動き出す。山岸尚美とともに。

そこへシアトルで法律事務所を構えている浩介の父・克久が偶然宿泊することになった。久しぶりの父子の再開、そこへ被害者の家族や怪しい人物が、つぎつぎと現れてチェックインする。容疑者はどこに?

謎の人物は最終選考に残った容疑者なのか、それとも・・・

 

マスカレード・ライフ/東野圭吾 作/集英社

 

「マスカレード」シリーズ最新作は、シティホテルと洗練されたホテルマン、文学賞の選考会など、いかにも華やかな雰囲気で新しい年の幕開けにふさわしいエンタメミステリーなので、お正月に読むことにしました。

 

プロローグは、主人公の新田浩介が高校時代のエピソードから物語は始まります。

東野圭吾さんの作品には、プロローグに本編の示唆になる話が書かれていることがよくあります。例えば「夢幻花」「ブラック・ショーマンと名もなき村の殺人」などがそうですが。

 

プロローグは短いながら、新田浩介の小学校時代、そして高校時代になってからのいじめや事件問題盗難事件、父・克久が扱っている刑事事件など、過去のショッキングな事件が語られていて興味深い内容でした。

 

浩介の行動で学校での事件の真相は解明されたのですが、その結果、友達は転校を余儀なくされてしまいます。それについて浩介は、こう語っています。

 

「自分が余計なことをしなければ、半井も牧野も転校せずに済んだのだ。事件をきっかけに上級生によるいじめが終わっていたかもしれない。終わらなくても、半井がいったように、時が経てば加害者たちはいなくなったのだ。

だが、そのほうがよかったとはどうしても思えなかった。たとえ苦痛が待ち受けていようとも、自分はこれからも真相を求める道を選ぶだろうと浩介は思った。なぜなら、誰かがやらねばならないことだからだ。」

 

この、” 誰かがやらなければならないことだからだ " という言葉に、浩介の性格や生き方がくっきりと描かれていますね。

 

「マスカレード」シリーズは、「マスカレード・ホテル」「マスカレード・イブ」「マスカレード・ナイト」「マスカレード・ゲーム」とあり、ホテルで殺人事件が起こるかもしれないという緊迫感のある話でした。

今回は過去の殺人事件の犯人をホテルで確保するという話なので、今までのミステリに比べると、どこかまったりとした印象が否めませんでした。

ただ浩介の父・克久が現れてからは、被害者の家族が宿泊したり、容疑者と同じ服装をした謎の人物が現れたり、徐々にミステリぽくなってきました。

 

克久のホテルで会おうとしている人物や過去の事件関係者など、偽りの仮面をかぶっているであろうと思われる人々の悲喜こもごもの人間心理が、じつに細やかに描かれています。ここは家族間の憎悪と愛情が、考えさせられる内容になっていました。

 

特に面白いのは文学賞の選考会でした。出版社や編集者、作家の面々の思惑や利害がからんだ話し合いの内容が、リアリティがあって良かったのですが、やはりここは作家ならではの内側に精通したことによる話なのだろうと妙に納得しました。

自虐ネタあり、ややドタバタ感ありで、もしやミステリではなくギャグ?と思ったりもしましたが、ぎりぎりユーモアの範囲内ということにしましょう、読んだのお正月ですし。意外な顛末は文学賞で、ミステリ感はやや薄めでした。

 

特に本筋とは関係ないのですが、ラストで父・克久の

 

克久は浩介からキャリーバッグを受け取ると、二人の顔を交互に見てきた。「ではまた」

 

……この一行が気になりましたね。二人とは、浩介と尚美さんですが。

次回作を期待してしまいます。深読みし過ぎでしょうか?

 

東野圭吾氏の作品の多くが、映画やドラマになっています。この「マスカレード」シリーズも、いくつか映像化されています。

そうしたとき、小説を先に読むか、それとも映像を先にするかということなんですが、

私は本を先に読むことをおススメしたいですね。

なぜなら先に文字で読むと、まっさらな中で自分で自由に想像をめぐらせて、景色や場面から登場人物まで、自分なりに思い描くことができます。それは自分だけの映像になって残ります。

その後で映像化された話を観ると、全く違うものとして観ることになります。

つまり1つの作品で、2度おいしいというわけです。

 

先に映像を観てしまうと、本を読んだとき、どうしてもその主人公や場面がよぎってしまって自分なりの想像が阻害されてしまい、2つの別作品とはなりませんね。

 

さて、あなたはどうでしょう?

 


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いつもありがとうございます。今年初読のミステリになります(笑)

 

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