毛虫がいて夜中に、葉っぱやら蕾やら食べられてしまったのですが、
1つだけ八重の真白いクチナシの花が咲きました。

真実を問わず知らない先生の
罰に梔子静かに香る

小学3年生の頃だったか、昇降口でクラスメートの乱暴な男子がダダってかけてきて、ドーンと私にぶつかりました。
そのはずみで転んで、その拍子に壁にかかっていた一輪挿しの花びんが落ちて割れたのでした。すると、その男子はあやまることもなく、
「○○が花びんを割った~っ!」って、叫んだのです。
まわりの子が私に注目しました。
この時、「あんたがぶつかったからでしょっ」って言えれば良かったのですが、内気で引っ込み思案だった私は何も言い返せませんでした。
翌日、また男子はクラス内で、同じようなことをわあわあ言いました。
この時、自己弁護をする男子が情けなく悲しくなりました。そして、かわいそうにもなりました。
私はますます真実をいう気力が失せました。でも、先生が訊いてくれたら、本当のことを言おうと思っていたのです。
先生は私に何も問わず、この男子とまわりの人の話だけを訊いて、
「本来なら弁償しなくてもいいんですが、ちゃんと謝らないので、弁償してもらいます」
と、親に言ったのでした。
私の母親は私を叱ることもせず、当時父親が入院していて経済が厳しかったにもかかわらず、黙って弁償をしてくれました。
大人になって結婚して子供が出来て、自分の子が小学生になったとき、あの時の本当のことを、やっと話しました。誤解を解いておくべきだと思ったからでした。
だけど、母はそのことを覚えていませんでした。
もっと早く話しておけば良かった、自分だけ人をかばっていい気になっていたけれど、きっと情けなく思っていたことでしょう。親に申し訳なかったとしみじみと思いました。
梔子の白い花が好きだという今は亡き母、実家に咲いていたのは一重のクチナシでした。
この八重の梔子は、実家のクチナシを思い出して買って、ここに植えたものでした。
いつもありがとうございます。こういう後悔って、私はたくさんあるんですね。言うべきことは早く言わないとと、いつも思うんですが。たとえば、「ありがとう」とか。