著者の田坂広志さんは、本の冒頭でこう問うています。
あなたは、いま、逆境の中にあるのでしょうか。
日々の仕事での苦労、
貧しい生活での困難、
挑戦した事業での失敗、
競争社会における敗北、
抱いた夢が破れた挫折、
愛する人を失った喪失、
医者も救えない重い病気、
人生を損ねるほどの事故。
・・・
その中で悩まれ、苦しまれ、どうすれば、その逆境を越えることができるかの答えを求め、この本を手にされたのでしょうか。
もし、そうであるならば、私が、本書を通じて、あなたに伝えて差し上げたいことは、
ただ一つです。

すべては導かれている/田坂広志 著/小学館
” 我々の人生は、
有難い「順境」だけでなく、
様々な「逆境」を含め、
すべては、大いなる何かに導かれている。
「幸運に見える出来事」だけでなく、
「不運に見える出来事」も含め、
すべては、我々に良き人生を送らせるための
大いなる何かの導きである。 ”
私が田坂広志氏を知ったのは、YouTubeでした。
医者から、もうそれほど長くは生きられないだろうと伝えられた致命的な病気による絶望の淵から、自分自身の不思議な力と叡智に気づいて、病を乗り越えたことを語っていました。
ちょっとスピリチュアルのようにも見えますが、全くそんなことはありません。
” 私は、子どもの頃から科学技術に興味があり、大学は工学部に進学した人間です。
当然のことながら、神や仏や「大いなる何か」など信じない、唯物論的な世界観を持っていた人間でした。 ”
本書でこのように書いてありますが、田坂氏の経歴を見れば、
東京大学工学部卒業、同大学大学院修了。工学博士。
民間企業入社後、米国シンクタンク、バテル記念研究所客員研究員等など。
日本総合研究所の設立に参与。延べ702社とともに、20の異業種コンソーシアムを設立。取締役・創発戦略センター所長等歴任。現在・同研究所フェロー。
多摩大学大学院教授に就任。社会起業家論を開講。現名誉教授。
・・・・略・・・・
4人のノーベル平和賞受賞者が名誉会員を務める世界賢人会議・ブタペストクラブの日本代表に就任。
東日本大震災と福島原発事故に伴い、内閣官房参与に就任。
思想、ビジョン、志、戦略、技術、人間力という「21世紀の変革リーダー」への成長をめざす場、「田坂塾」を開塾。
・・・・略・・・・
このように田坂氏は、じつに知性あふれた科学的な人間のようです。

もし、あなたが逆境において、「すべては導かれている」という覚悟を定めるならば、
1.日々の仕事や生活において起こる出来事の「意味」が、全く違って見えてきます。
2.その逆境に向き合う「勇気」「気迫」が湧き上がってきます。
3.その逆境を越えるための「直観」が閃くようになり、「運気」を引き寄せるようになります。
この「3つの変化」が起こると語っています。
そして、「すべては導かれている」という覚悟を定めるには、つぎの「5つの覚悟」がいるといいます。
第一の覚悟 自分の人生は、大いなる何かに導かれている
第二の覚悟 人生で起こること、すべて、深い意味がある
第三の覚悟 人生における問題、すべて、自分に原因がある
第四の覚悟 大いなる何かが、自分を育てようとしている
第五の覚悟 逆境を越える叡智は、すべて、与えられる
これらは詳しく本書の中で解説されていますので、実際に本書を読んでいただければ間違いないと思いますので、ここでは私が特に感銘を受けた部分について、少しだけ書いてみたいと思います。

第二の覚悟 ” 人生で起こること、すべて、深い意味がある ”
における” 解釈力 ” についてです。
・ この苦労は、自分に、何を教えようとしているのか
・ この失敗は、自分に、何を学ばせようとしているのか
・ この挫折は、自分に、何を掴ませようとしているのか
・ この病気は、自分に、何を伝えようとしているのか
そうしたことを考える力が、田坂氏のいう「解釈力」です。
なぜそのように考えるのが大切かというと、人生においての1つの真実があるからだといいます。それは、
人生において「成功」は約束されていない。
そして、またもう1つの真実があります。
人生において「成長」は約束されている。
こうした真実を見つめると、私もやはり田坂氏と同じ思いに行きつくのです。それは
何が起こったか。
それが、我々の人生を分けるのではない。
起こったことを、どう解釈するか。
それが、我々の人生を分ける。
人生において起こる、幸運に思える出来事、幸せに思える出来事だけが、「導かれた出来事」ではなく、
不運に思える出来事、不幸に思える出来事も含め、すべての出来事が、「導かれた出来事」なのだと考えると、
人生で起こること、すべて、深い意味がある
そして、それは成長のためにあるという覚悟を持つと、失敗や不運、不幸が多い自分の人生も、意味のあるように思えてきます。
第四の覚悟 ” 大いなる何かが、自分を育てようとしている ”
田坂氏は、「あなたは、いつ、成長されたでしょうか。」 と問うています。
あなたが成長されたのは、
あの夜も眠れぬ日々。
あの胃も痛むような時間。
あの天を仰いだ一瞬。
そうした日々を、時間を、一瞬を与えられながら、それでも前に向かって歩み続け、懸命に歩み続け、ふと振り返ると、我々は成長している。
一人の人間として、成長している。
それが、人生の真実ではないでしょうか。
そういえば私も、幼少時に父親が病気で入院し亡くなっているため、経済面でも愛情面でも恵まれず不運だったのですが、そうした中で恵まれない人に対する思いやりを学ぶことができました。いろいろな不幸や悲しみが、自分を育ててくれたのですね。
あれから様々な悲しい出来事、残念なこと、数多くの失敗・・・等が、それなりに自分を育てていてくれたのかもしれません。
そう考えると不思議なものです。失敗や後悔の多い自分の人生も、それほど悪くもないのかもしれないと思えてくるのです。

田坂氏は絶望的な病気になったときに、
大いなる何かが、この逆境を与えることによって、自分を育てようとしている。
そして、自分を育てることによって、多くの人々の幸せのために、
素晴らしい何かを成し遂げさせようとしている。
天から与えられた、この貴い時間を、意味のあることに使おう。
世の中に光を届ける仕事に、このかけがえのない時間を使おう。
こう覚悟を決め、思いを定めてから、奇跡的に病気が消えてゆき、想像を超える「不思議」が訪れたのだそうです。それはつぎの、
第五の覚悟 ” 逆境を越える叡智は、すべて、与えられる ”
その覚悟を定めたとき、
目の前の逆境を越えるために必要な「叡智」が、
想像を超えた形で与えられるからです。
不思議な形で与えられるからです。
これはどのように与えられるかは、本書にくわしく書かれていますが、
”かつて、ある研究者が、政治家、経営者、文化人、芸術家など、様々な分野で優れた仕事を成し遂げた人物について調査を行ったのです。
その結果は、意外なものでした。
最も多く使われていた言葉は、「努力」や「信念」という言葉ではなく、
「たまたま」
「ちょうどそのとき」
「ふとしたことから」
そういった「偶然の出来事」によって人生が導かれたことを語る言葉が、最も多く使われていたのです。”
必要なアイデアは、何かに導かれるように、
心の奥深くから湧き上がってくる。
どのような分野でも、創造的な作品づくりに取り組む人間や、
創造性が求められる仕事に取り組む人間は、その修行を続けていくと、
いつか、必ず、たどり着く世界であると思います。
このように語っていますが、奇しくもたまたまTVを観ていたら、サザンの桑田佳祐さんのインタビュー対談をやっていました。観た方も多いのではないかと思うのですが、
1990年代後半に、若手に押されてサザンの売り上げも8万枚と落ちていて、もう潮時かと考えていたのだそうです。
そんな折、2000年に293万枚も売り上げたロック史上最大のヒット曲で、今も記録が破られていない ” TSUNAMI ” が生まれました。
これが生まれた理由を問われた桑田佳祐さんは、
「ネガティブに落ち込んでいて、引っ張り上げてもらった
たまたまできた曲 なんですよ。」
と語っていましたね。
それが印象に残っています。
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すべては導かれている 逆境を越え、人生を拓く 五つの覚悟 (PHP文庫) [ 田坂 広志 ]
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すべては導かれている 逆境を越え、人生を拓く 五つの覚悟 [ 田坂 広志 ]
いつもありがとうございます。大いなる何かの導きによって、成長のためのすばらしい本に出会えました。