花屋さんの店先に、沈丁花の苗が2つ、3つ、そっと置かれていました。
そういえば昔、この花は故郷の庭にあってたくさんの花をつけたものでした。
でも……はて、沈丁花は庭のどこに?
確か庭の右の隅だったような気がするのですが……
春になると、庭の真ん中に水仙が黄色い花をつけ、それから乙女椿が庭の奥に薄い桃色の花をたくさんつけ、そして手前には花カイドウが咲き……この花カイドウには、よく鶯がやってきたものでした。
そんなふうに若かった頃は、華やかでかわいらしい花にばかり目がいっていて、それは今でもその在処がありありと思い浮かびます。ところが沈丁花は、どうも今一つ、何処にあったのかはっきりとしません。
ただ、いつも春先には、沈丁花のいい香りがしていたものでした。

ふるさとの庭のいずこか沈丁花 瑚幸
ふるさとのにわのいずこかぢんちょうげ こゆき

沈丁花〖春の季語〗沈丁・丁字・瑞香・芸香・沈丁ほころぶ
花名は香木の沈香(じんこう)のような香り、スパイスの丁子(クローブ)のような香りと花の形にちなみます。
紫紅色の花がかたまって咲き、香りが高く、春の沈丁花・夏のクチナシ・秋の金木犀を合わせて三大香木と称します。
花言葉は、常緑植物であることから『不死』『不滅』。
強い香りにちなんだ『飾り立てる』など。

花屋の店先で見つけて、つい懐かしくなって小さな沈丁花の苗を連れ帰りました。
しばらく机の上に飾っていたら、とてもいい香りがして癒されました。花が終わったら、さて猫の額のような庭のどこに植えようかな・・・
句は最初は、
故郷の庭の何処か沈丁花
と漢字を多用しましたが、沈丁花という季語を引き立てるためと、思い出を柔らかいイメージにするために、「故郷」と「何処」をひらがなにしてみました。
ふるさとの庭のいずこか沈丁花
いつもありがとうございます。