黄昏横丁二丁目は、魔法使いたちの住む街だ。
普通の人たちが暮らしている世界と、ほんの少しだけずれた場所にあり、魔法使いたちはそれぞれ自分の魔法を活かしたお店を開いている。
十年屋。作り直し屋。いろどり屋。お天気屋。封印屋。
そして、桜さくら屋。(⇚ あ、うそです)
そんな魔法使いたちからもっとも頼られているのは、たぶん、銀行屋ギラトだろう。

銀行屋と小間使い猫/廣嶋玲子 作/ほるぷ出版

魔法界の住民はお金が必要になると、銀行屋ギラトのところへ行って、自分の魔法で作り出したものを秤にかけて価値をはかり、それにふさわしい値段と換金してもらいます。それは魔法界でも人間界でも使うことができるお金です。
銀行屋ギラトは黒い肌に銀の髪、立派な体格を高級なスーツで包んでいて、いつも堂々として隙がない雰囲気を持った魔法使いです。実際、孤児として生まれ大変な苦労をして育ち、時には暗黒街の女ボスのもとにもいたという経歴を持った魔法使いなのですが、その心魂はやさしく、部屋にはかわいいもので埋め尽くされています。
そんなギラトの使い魔になったのが、十年屋の優秀な執事猫カラシの弟子でミルクティー色の毛並みにハチミツ色の目を持ったかわいい子猫のミツです。ミツは自分で、魔法街一のかたぶつの銀行屋ギラトを選んだのです。ギラトは大喜びをして、ミツも幸せな日々を送っているのかとおもいきや、なかなかそうもいかず・・・。
ここまでは確か十年屋シリーズの前作『十年屋6 見習いのお時間です』に書いてあったように思います。今作はその続きですね。全部で6章あります。
銀行屋ギラトのもとに小間使い猫のミツが来たことによって、ご主人さまを持つ生活を始めたミツはもちろん、この場合は銀行屋ギラトが過去をふり返り、新しい自分を発見し歩き出していきます。
1 小間使い猫のなげき、魔法使いの悩み
使い魔というのはご主人様(この場合銀行屋ギラト)の役に立つ仕事をすることが生きがいなのですが、ギラトの方はミツが可愛いので仕事を与えずに猫かわいがりをしてしまいます。そこでミツは、銀行屋ギラトが自分を必要としていないにじゃないかと思い悩むのでした。
十年屋に相談に行ったギラトは、ミツの師匠の執事猫カラシに使い猫の本心をいわれて強いショックを受けます。そこで十年屋は、銀行屋ギラトに……。
2 人形の値段
なかなかミツに仕事を頼めないギラトでしたが、偶然の成り行きで煙突の詰まりを掃除したミツに、そのごほうびとして、ミツにあげたワンピースの由来の話をするのでした。それは生活に困っている幼い子供のために、大金を支払って人形を買い取るという話でしたが、あまりの大金にミツは、とある決心をするのでした。
3 色の値段
ミツ、君ももうわかっていると思うが、私の魔法はものの価値をはかることだ。
1つは、魔法使いのみなさんに現金が手に入るようにすることだ。
2つ目の役目は、未来からの前借りだといいます。つまり、
はかりの魔法によって現れるお金は、「誰かがそれだけの値段で品物を買いたがっているということだ」といいます。
そうして、テン君が持ち込んだ色は、金貨50枚の値がついたといい、その話を始めます。
4 とんぼ返りの値段
「小さな子猫の使い魔が主人を求めている」という知らせを遠方で聞いたギラトは、何もかもうっちゃって、多くの困難を乗り越えてひたすら魔法街へと戻るのでした。それを聞いたミツは……。
5 恩返しの値段 と 6 銀行屋の値段 は、
銀行屋ギラトの孤児としての生い立ちから、町を追われるようになったいきさつや海でおぼれて漁師に助けられ、美味しいスープを食べさせてもらったこと。
しかし、人の善意が信じられずに、やがて大きな町の暗黒街の女ボスの元で悪事を覚えていった少年期。そこから魔法街の元の銀行屋イッサのところで修行をして銀行屋を継ぐようになったことなどの身の上話をします。
ギラトは大人になってから、ようやく漁師の親切が理解できるようになって、再びお礼をしようと訪れますが、すでに漁師は亡くなっていたのでした。ところが不思議なことに、十年屋のところで、漁師のところで食べたものと同じ味のスープを食べるのでした。すると十年屋は、これはお客様が預けていったスープのレシピで作ったのだといいます。その人とは……。
さて物の価値について、銀行屋ギラトが少年の頃に不思議に思ったと語っています。それは暗黒街の女ボスのもとで悪さを働いていたころのことでした。
ひどく古びた石のメダルに途方もない値段がついたり、華やかな装飾品がじつはたいした値段ではなかったり。
価値とはなんなのだろう?
誰が決めるのだろう?
そういう疑問を抱いていたギラトは、女ボスに呼ばれた部屋で小さな銀のはかりを手にします。他の少年たちは、宝石や武器を手にしたのに。
あなたが今、手に持っているものです。
それを選んだ者には、銀行屋としての素質がある。
もとの銀行屋イッサがいいます。
この言葉は、そのまま自分に向けられた言葉でもありますね。
つまり、、それはものの価値の話だけでなく、どうして今、私たちはここにいるのか。
それは各々の心の中にある自分だけの秤で、毎瞬、毎瞬、どうするか、どっちを選ぶかをはかってきたから、ここにいるのではないのかと思えてなりません。
ちなみに銀行屋ギラトはもとは、ヨド(黒い豆)という名前でしたが、銀行屋を受け継いだときにイッサからギラトという名前をもらいました。
「……ギラトというのはどうです?
私の故郷に伝わる古い言葉で、『幸せな銀貨』という意味です。あなたのその美しい髪にぴったりでしょう?」
ところで、読者の皆さんは、どんなことに価値を置いているのでしょうか。
気になりますね。
作者 廣嶋玲子さん
神奈川県生まれ。『水妖の森』でジュニア冒険小説大賞、『狐霊の檻』でうつのみや子ども賞受賞。主な作品に「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」シリーズ、「もののけ屋」シリーズなど。
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銀行屋と小間使い猫 十年屋と魔法街の住人たち4 [ 廣嶋 玲子 ]
みなさん、こんにちは💛
いつもご訪問をありがとうございます。
こんな可愛い使い魔の猫ちゃんが来たら、そりゃあ銀行屋ギラトじゃなくても甘やかしてしまいそうですね。
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